図書館報

ひだり

あらすじ

 時刻は真夜中近く。彼女はずいぶん熱心に本を読んでいる。様々な種類の人間が深夜の「デニーズ」で食事をとり、コーヒーを飲んでいるが、女性の一人客は彼女だけだ。 入り口の自動ドアが開き、大きな黒い楽器ケースを肩にかけた若い男が中に入ってくる。「君は浅井エリの妹じゃない?」 彼女は無言だ。男は続ける。「君の名前はたしかユリちゃん」 彼女は簡潔に訂正する。「マリ」 部屋の中は暗い。しかし私たちの目は少しずつ暗さに慣れていく。美しい女がベッドに眠っている。マリの姉のエリだ。部屋のほぼ中央に椅子がひとつだけ置かれている。椅子に腰かけているのはおそらく男だ。 マリに話しかけた男が立ち去ると、金髪の大柄な女が店内に入ってくる。女はマリの向かいのシートに腰を下ろす。「タカハシに聞いたんだけど、あんた中国語がべらべらにしゃべれるんだって?」 女の名はカオルといい、ラブホテル「アルファヴィル」[注 3]のマネージャーをやっている。カオルはマリに通訳を頼みたいという。「アルファヴィル」の部屋では、客に殴られ身ぐるみはがれた中国人の娼婦が声を出さずに泣いている。娼婦の名は郭冬莉(グオ・ドンリ)。マリと同じ19歳だ。 カオルは従業員のコオロギとコムギとともに防犯カメラのDVDを調べ、殴った男の映像を見つけ出す。 「アルファヴィル」の防犯カメラに映っていた男は、同僚たちがみんな帰ってしまったあとのオフィスでコンピュータの画面に向かって仕事をしている。 午前3時。「すかいらーく」でマリが一人で本を読んでいると、高橋が店に現れる。 エリはまだ眠り続けている。

ウィキペディアより

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