図書館報

ひだり

あらすじ

 グスコーブドリ(ブドリ)はイーハトーブの森に暮らす樵(きこり)の息子として生まれた。 冷害による飢饉で両親を失い、妹と生き別れ、火山噴火の影響による職場の閉鎖などといった苦難を経験するが、農業に携わったのち、クーボー大博士に出会い学問の道に入る。 課程の修了後、彼はペンネン老技師のもとでイーハトーブ火山局の技師となり、噴火被害の軽減や人工降雨を利用した施肥などを実現させる。 前後して、無事成長し牧場に嫁いでいた妹との再会も果たすのであった。 ところが、ブドリが27歳のとき、イーハトーブはまたしても深刻な冷害に見舞われる。 火山を人工的に爆発させることで大量の炭酸ガスを放出させ、その温室効果によってイーハトーブを暖められないか、ブドリは飢饉を回避する方法を提案する。 しかし、クーボー博士の見積もりでは、その実行に際して誰か一人は噴火から逃げることができなかった。 犠牲を覚悟したブドリは、彼の才能を高く評価するが故に止めようとするクーボー博士やペンネン老技師を冷静に説得し、最後の一人として火山に残った。 ブドリが火山を爆発させると、冷害は食い止められ、イーハトーブは救われたのだった。

ウィキペディアより

レビュー

 最初はkindle版で読みました。冒頭から貧しさで離散したブドリ一家が不憫でなりませんでした。両親の失踪と妹の誘拐で独りぼっちのブドリを 利用しようとするあいつは最初は憎らしく思いましたが、物語の終盤に大人になったブドリが挨拶に行った場面では、印象が違いました。 どんなにこき使われても、食わせてもらった恩をブドリは忘れてなかったのですね。幼少から苦労を重ねてきたブドリが、捻くれることなく 大きくなって、学問を志し、かつての自分のように苦しんでいる農民を救う生き様に感動するばかりです。人生の不条理に立ち向かう勇気と 生きる意義を教えてくれるお話でした。

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